病院長等による病院紹介 > 公立森町病院 院長 中村 昌樹 先生
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更新日:2015年6月26日
森町の高齢化率は30.2%で10年後の全国平均を先取りしています。人口2万人弱の小さな町ですが、新東名高速道路が開通し、当院は森町掛川インターチェンジと遠州森町パーキングエリアのスマートインターチェンジのほぼ中間に位置し、また本年3月14日に天竜浜名湖鉄道の森町病院前駅が開設されたことから、交通の便は比較的恵まれています。古くからの神社仏閣が多く、かつては南北交通の中心として栄えた町であることから、地震等の災害には比較的強い地域かもしれません。
当院は、高齢化が進んだ地域における生活圏の医療を担う立場から、これまで在宅医療、介護との連携、退院支援の強化、回復期リハビリテーション、家庭医の養成などに取り組んできました。隣接市の磐田市立総合病院と業務提携を結び、当院が一般急性期入院と回復期リハビリテーション入院を、そして家庭医療クリニックが外来の専門性を担うことで、機能分化と連携による3階建ての医療提供体制を構築してきました。
昨年度、地域包括ケア病床を稼働させ、森町病院友の会や住民ボランティアとの連携も進め、地域包括ケアシステムの中心的役割を担うことを目指しています。森町住民の家庭医の認知度も高まり、森町家庭医療クリニックの外来患者数も年々増加しています。在宅医療は、当院から家庭医に徐々にシフトしつつあり、当院は在宅医療を支援する入院機能と在宅医療連携拠点としての役割を担う方向で地域連携を進めています。
そして、浜松医大の健康社会学講座、地域医療学講座との連携で学生実習を受け入れ、産婦人科家庭医療学講座、地域家庭医療学講座、さらにはミシガン大学家庭医療学講座が家庭医養成に協力していただいています。また、近隣医療機関から初期研修医の地域医療研修を受け入れ、若手医師の育成にも力を注いでいます。
現在、訪問診療先で電子カルテを活用できるようにシステム構築を進め、それを活かして、今年度から家庭医による森町北部の中山間地域の巡回診療を始めました。
森町は、静岡県が算出した平成22年度の県内市町別お達者度で女性が1位、平成23年度には男性が1位となりました。当院は町単独で運営している病院であり、地域包括支援センター、訪問看護ステーションも町立であることから連携が取りやすく、今後も予防医療にも力を注ぎ、住民と一体となった「地域とともに在る病院」を目指して取り組んでまいります。
平成27年6月 公立森町病院 院長 中村 昌樹