ホーム > 医学生の方へ > 病院長等による病院紹介 > 国立病院機構天竜病院
ここから本文です。
更新日:2015年8月14日
国立病院機構天竜病院は、浜松市浜北区と天竜区の境に位置しています。そばを流れる天竜川が南下し行き着くかなたに遠州灘を望み、同時に浜松市街を一望する高台にあります。この丘陵地は「MEW(medication, education, welfare)の丘」とも呼ばれ、当院(medication)とルーツを共にする県立天竜特別支援学校(education)と社会福祉法人天竜厚生会(welfare)が隣接して存在しています。3者は、患児の教育や就業支援などで密接な連携体制をとっています。
当院の病床数は338床で、内訳は一般258床(重症心身障害112床を含む)、精神50床、結核30床です。平成24年には、免震構造を持つ6階建の新病棟が完成し、現在は同じく免震構造の外来・管理棟(3階建て)を整備している最中です。
診療内容の特徴は、次に述べるようないわゆる政策医療(セーフィティーネット)に特化していることです。
1)100人を越える重症心身障害児・者の方が入院し、「療育」を受けています。重症心身障害児とは、重度の知的障害および重度の肢体不自由が重複している児童です。最近は人工呼吸器が装着された患児が増え重症化が顕著です。主として、小児科医が対応しています。
2)筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、クロイツフェルト・ヤコブ病などの患者さんたちを中心とする神経難病の患者さんが大勢入院しています。長期入院を要するほどの病状の方が大半を占め、神経内科部門だけで30台以上の人工呼吸器が稼働しています。
3)児童精神は、心のケアーを必要とする15歳未満の児童のみを対象としたかなり特殊な部門です。発達障害をベースに様々な情緒障害を生じた患児などが治療を受けています。認知行動療法などのほか、隣接する森林公園で行っている森林療法は医療のみならず農林関係者からも注目されています。浜松医科大学児童青年期精神医学および精神医学講座の強力なバックアップを受けており、当院は児童精神科医養成の臨床拠点として位置づけられています。全国からこの領域に関心のある精神科および小児科医師が集まってきています。
4)当院のルーツである結核を含む様々な呼吸器疾患や糖尿病をはじめとする内分泌代謝疾患を扱っています。もちろん、一般内科や救急医療も行っており、へき地拠点病院としての北遠における医療支援も当院の役割のひとつです。
当院では、現時点(旧制度?)での呼吸器内科、神経内科、精神科の後期研修に対応しています。専門医制度が大幅に見直されている今、まだ専攻医(内科や精神科など)やサブスペシャリティ(呼吸器内科、神経内科、内分泌代謝科など)への道のりが明示されているとは言えませんが、幸い、当院には各種専門医や指導医資格を持つ医師がたくさんいますので、制度変更時には速やかな対応ができると思っています。若い先生方のおいでを心よりお待ちしています。
平成27年8月 独立行政法人国立病院機構 天竜病院 病院長 早川啓史