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更新日:2017年2月3日

静岡県立総合病院 総合診療センター長・教育研修部長 袴田 康弘 先生

 袴田医師卒後臨床研修に大きな変化が起きます。2019年から始まる新専門医制度は、医学生にとって大きなインパクトです。卒後研修の2年に続いて、研修医は専門医コースを必ず一つ選択することになります。

 これまでの制度では、初期臨床研修後すなわち卒業3年目から病院や大学の医局で研修を継続し、症例数が足りたところで専門医受験をすることが通常のコースでした。学会の研修指定施設をかなりの自由度で選択でき、比較的自由な期間で、それぞれの都合に合わせて研修ができ、時には専攻科を変更することさえも自由で、例えば外科から内科への変更も自由でした。新しい専門医制度には制約があります。選抜試験も行われ、各施設ごとに専攻医の定数があり、決められた期間と施設で、学会規定のカリキュラムで研修します。その施設と連携施設で半年から1年の専門研修が規定されます。決められた基幹病院と連携病院を離れて他の施設での研修を行う自由はありません。各科カリキュラムごとに初期研修2年時に選抜試験が行われます。

 医学生は現在と将来の状況を十分に把握し、初期臨床研修病院を選択しようとしていますが、2極化した風潮があるようです。初期臨床研修は自分の将来の専門性と関連した病院を選択する学生がいます。一方で、専門医制度とは関わりなく、まだ専門性を決められず迷っている多くの学生たちが、手探りの状況で初期臨床研修病院を探しています。どちらが良いのか判りませんし、自分の将来について迷うのは当然ですから、適切な助言を簡単にあるいは安易にはできません。

 この状況を踏まえて当院では、どのような学生さんが応募されてもその将来に柔軟に対応できる研修制度を構築しております。10科において新専門医制度での基幹病院として登録する予定です。連携病院としてはほとんどの科が専門医制度に参加します。私たちがこれまでの初期臨床研修医の諸君との付き合いで得た教訓から言えることですが、学生時代の将来像にこだわる事はありませんし、それは脆いものです。臨床研修2年間は医師人生の重要な分岐点です。当院の80余名の指導医をはじめとして250余名の同僚、県立がんセンター、こころの医療センター、こども病院、静岡県内の地域医療施設、静岡市医師会の先生方、米国UCLAの医師たちが待っています。医学生諸君が出会ったことがないような諸先輩方と啓発し合うことで、将来が大きく開けるはずです。